Iさんの家は、北と東が道路に面する角地に建っています。しかも、その両方が幅4m以下のセットバックが必要な道路(セットバックとは敷地に接する道路の幅が4m以下の場合、道路中心から2mまでを道路とみなす、という建築基準法上のルール)。そのセットバックラインいっぱいに境界の塀を建てることも可能ですが、それでは曲がりにくくなりますし、狭い感じの町並みになってしまいそう。
そこで、Iさんの家では、角の部分を砂利敷きの駐車スペースとして解放して、ちょっと開けた感じを出しています。少しくらい敷地内を通られたって、減るもんじゃないし別にいいじゃないか!という、おおらかな気持ちでささやかな地域貢献です。
Iさんの敷地は道路から少し高低差があるので、駐車スペースから続くスロープで玄関にアプローチします。Iさんが植えられた草花も「ようこそ!」感を演出しています。
スロープには、途中からガラスの屋根が掛かります。雨の日には、傘をたたんだりレインコートを脱いだり、やっぱり玄関前にはある程度の広さの屋根(軒)が必要です。
玄関戸の前に立つと2mそこそこの低い屋根ですが、ガラスなので暗くならず、また、手が届く高さの軒は文字通り身の丈にあった親近感があって、いいです。(ono)